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【お客さんを”集めて”ない?】イベント集客の実践で考える「集める」と「集まる」の違い

2017/01/31

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最新情報と異なる場合がございます。

アニソンDJのけんしろうです。今日は「集める」と「集まる」について。

イベントの集客。「できるだけたくさんの人に来てほしい」というのは主催として当たり前の感情ですが、そこでいつも思い出すのは、「集める」と「集まる」の違い。

元広告代理店であり、マーケター(マーケティング担当者)だった僕は、あらゆる広告宣伝の本を読み漁り、研究を続け、実践してきました。

そこで出会ったのが「集める」と「集まる」の概念。

僕は何かを宣伝する時、「集める」行動か「集まる」行動か、相当意識します。

「集める」vs「集まる」

僕が書きました。下手な絵ですいません。

木を主催、鳥をお客さんとします。

「集める」とは、木が鳥を追うイメージです。絵にすると怖い。絶対魔女の呪いかかってる。

「集まる」とは、木に鳥がとまりに来るイメージです。のほほんとした平和な世界観ですね。

絵に書くとハッキリわかりますが、木が鳥を追う「集める」はお客さんにとって主催が恐怖の存在に見えるわけです。(…言い過ぎました。ちょっとしたストレスと言い直しましょう。)

具体的な行動に分けると、こういう感じです。

「集める」

イベントの友人に声をかける、LINEで個別に連絡をする等
→「とにかく来て」というメッセージが強く、イベント側主導。

「集まる」

イベント内容が書かれたホームページの告知、チラシを読んでもらい「気に入ったら来てね」と声をかける
→イベント内容を伝えることに終始し参加の可否は相手に預ける、お客さん主導。

こういう感じでしょうか。

集めているようで集まる、集まるようで集めているなど、厳密な差別化は非常に難しいのですが、集客活動をしている時に「今自分は、鳥を追う木になっているのか、集まる木になっているのか?」という自問自答をすると、分かりやすいかもですね。

今あなたは、鳥を追う木になっていますか?集まる木になっていますか?

集客をしようとすると、「集める」行動が増える。

これから新しいイベントをやるぞ!という時に、知り合いに声をかけまくる、チラシを配りまくるなど「集める」行動をしてしまいます。

それも当然、必要なことです。良いから遊びに来て!という強引さは新しい娯楽を体験してもらうのにとても必要なことだと思います。

でも、その上でもう一段階手を打っておきたい。そういう時に「集まる」の手法です。

「集める」も重要ですが「集まる」ことも重要です。

人を「集める」のではなく、人が「集まる」状況に持っていくこと。これが実現すると面白いことが起きます。

「集まる」が実現すると、”知り合いではない”新規客が増える。

「集まる」が体現するとどうなるか?

簡単です。演者の誰とも知り合いではない新規客が増えます。

フロアの半数が「演者もスタッフも誰も知らない人」なら、「集まる」が実現していると言えるでしょう。

そこで実践したいことは声かけです。主催がフロアを見て「この人どっから来たの?」という人を見かけたら、声かけをしたほうが良いでしょう。「集まる」イベントづくりのヒントになるかもしれません。

演者の誰とも知り合いではない新規客が増えたということは、イベントコンセプトを気に入ったお客さんということです。今後継続してイベントを行うにあたり非常に心強い味方になるでしょう。イベントをやれば「集まる」人々ですから。

では、「集まる」を実現するには、どうすればいいのでしょうか?

「集まる」を手っ取り早く実現する方法

今既にイベントがあって、イベント中身を変えずに「集まる」を実現するにはどうしたらいいのでしょうか?

【目的】イベントコンセプトに”共感”してもらう事

「集まる」とは、「そのイベント、良いね!」という言葉を引き出す為に、相手にイベントコンセプトを理解してもらう必要があります。

相手がイベントコンセプトを理解し「それなら行くわー」と納得して来てもらう状況を作るには、いかに「イベントコンセプトを理解し、共感してもらうか」に集中しなくてはなりません。

1.イベント紹介文を、思いつくだけ長く書く。想いを込めて。

重要になるのは「そのイベントが何をお客さんに提供するのか」というイベントコンセプトです。

「最新のイカス音楽をお客様に届けたい」のか「初心者歓迎のアットホームなパーティーを届けたい」のか。

主催によって様々な考え方があると思いますので、一度文章にしたほうが良いと思います。

イベントコンセプトをひたすら書いて、イベント紹介文を作成してみてください。

ミナトレイヴに関しては、こういう感じになります。

ミナトレイヴとは?

2.「一言で言うと、何?」キャッチコピーを作る

イベントコンセプトを文章化したあとは、キャッチコピーを作ります。

キャッチコピーを作るというのは、糸井重里さんなどコピーライターが行う特別な仕事のように思えますが、僕がやっているのは「一言で言うと何?」「要するに何?」です。

主催「○○なことを大切にしていて、○○なことをしていきたいと思っているんだ」

僕「なるほどー。要するになんですか?一言で言うと?」

主催「要するに、か…」

「要するに」「一言で言うと」というワードは、キャッチコピーを作る上で便利な言葉です。

お客さんは時間がありません。

一発でイベントの魅力が伝わるようにしないと、違う娯楽に行ってしまいます。

僕が主催しているミナトレイヴは「カンパ制野外アニソンパーティー」です。
ほら。なんのひねりもないですが、大切な要素は入っています。

注意しなくてはならいないのは、キャッチコピーがイベント内容とかけ離れることです。

「コスプレイヤーも楽しめるイベント」と書いているのに、更衣室が無かったりとか。それは良くないですよね。必ずキャッチコピーが実現できている状況にしてください。

ちなみに、イベントコンセプトからキャッチコピーを作るのではなく、キャッチ画像を作るという方法もあります。イベント内容が一発で分かるキャッチ画像は、言葉以上に多くのことを伝えることができます。

右の画像で目を引き、横のキャッチコピーを読ませる。

上記はまだ練りなおす必要がありますが、目を引くには十分です。

3.キャッチとイベントコンセプトを繋ぐ、リード文を作る。

リード文とは、キャッチコピーとイベントコンセプトを繋ぐ文章を示します。

先程書いてもらったイベントコンセプトは長文です。1行のキャッチコピーから長文のイベントコンセプトに繋ぐために文章が必要になります。

望ましいリード文は、お客様の声を体現することですね。

ミナトレイヴでは、以下の構成にしています。

都市型野外アニクラ 「ミナトレイヴ2」

「屋外でアニソン聞きたい!」
「外で踊りたい!歌いたい!」
「思いっきりストレス発散したい!」

クラブハウスの外に飛び出し!
みんなで機材を持ち込み、

カンパ制野外アニクラをやります!

(中略)

■ミナトレイヴとは?
ミナトレイヴは、大阪ミナミの野外で開催される都市型野外アニクラです。
アニソン&JPOPが中心ですが、ゲームソング・アイドルソング・ソーシャルゲーム楽曲・BGM・クラブミュージックも流れます。
ミナトレイヴでは信頼性が高いPioneerの機材とElectro-Voiceのスピーカーを使用します。
クラブ採用の機材により、室内イベントと遜色ないプレイが実現できます。

引用:http://minatorave.com/1106-info-515/

序盤にお客さんの声を体現したような文章があると思います。

これが僕がよく使うリード文です。

実はこのリード手法、他のイベントでも使われています。

- Are you Party People? -

・マジパリピズムってオタクのいくとこじゃねえな・・
・でもなんかいつも楽しそうだったよなぁ・・
・歌舞伎町てのがそもそも、怖いんだけどなぁ・・
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引用元:http://twipla.jp/events/239655

スムーズに文章が読めると思います。

4.読みやすさにこだわる。

キャッチコピー(またはキャッチ画像)、リード文、イベント紹介文。

これら3点をチラシや告知ページに載せたら、読みやすさにこだわってください。

読みやすくするコツの1つとして、序盤は1行の文章を少なく、改行多めにすると良いでしょう。

後半は逆に興味がある人向けに長文になるようにしています。

5.イベント当日まで何度も1~4を繰り返す。

イベントコンセプトが変わる度、1~4を何度も繰り返します。

イベントコンセプトが変わらなくても、表現の仕方は変わるかもしれません。

その場合はキャッチコピーやリード文を見直して、何度も作り直します。

チラシなどは何度も刷り直すとお金がかかりますが、告知ページは何度でも修正できますね?

一度作りっぱなしで放置しているツイプラやホームページを見かけますが、イベント当日まで何度も更新し”伝える努力”をサボらないことが大切だと思います。

6.例

どういう思考でイベントを作っているかは、以前も例を上げていますのでご参考にどうぞー。

【まとめ】集めると集まる、50:50の割合が理想。

さて「集める」と「集まる」の違いについて書きましたが、どうだったでしょうか?

「集める」ことを否定しているわけではありません。

なかには50人以上「集める」事ができる演者さんもいます。
主催として、超助かります。超助かる!

むしろ、お客さんを集めてくれる演者とスタッフは神です。「俺のイベントに来いよ!楽しいぜ!」と言われて「しゃーないダチだし行ってやろう」ぐらいの気持ちで参加したけど、リピーターになったということも、経験としてあるでしょう。

だから僕は、集めることを否定していません。

「集まる」「集める」は、50:50が理想だと思います。

僕も一人ひとりへの声かけである「集める」をしつつ、ホームページやチラシの内容を何度も見直して「集まる」ようにしています。

「集まる」の実現に必要なのは、多くのお客さんがイベントを気に入ってくれて、長く滞在してもらう場作りかもしれません。

場作りに必要なのは、演者とスタッフと場所を提供してくれる施設側、そしてお客さんの4者です。

僕も集まるパーティーづくりのため、色んな人とやっていかなきゃなーと思う日々です。

ではでは~。

追伸

マーケティング系の書籍に興味がある方は、これらがオススメです。

分かりやすく伝えることについては、これらの書籍が参考になるでしょう。

いずれも名著です。興味がある方は是非。

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